2011年5月29日日曜日

コダーイ弦楽四重奏団

2011年5月29日
東京文化会館小ホール(D列25番、4500円)
  • ハイドン:「皇帝」
  • モーツァルト:クラリネット五重奏曲、橋本杏奈(cl)
  • ベートーヴェン:ラズモフスキー第3番
円熟の演奏。非常に柔らかい音色で、透明感あるハーモニーが美しく、ハイドンとモーツァルトのゆったりとした第2楽章は秀逸。楽器間の音量バランスも完璧で、チェロのしっかりした低音の上にヴィオラと第2ヴァイオリンが完全に調和し、その上で第1ヴァイオリンがわずかに際立つ音色で滑らかに旋律を奏でる。モーツァルトは、渋い四重奏団との対比で、若々しいクラリネットの美しい音色が引き立っている。鋭さが無いためベートーヴェンは大人しく感じるが、まったり系四重奏団としては充分に魅力的。

コダーイ四重奏団の皇帝が良かったので、有名な第2楽章をアルバンベルクとフェステティチ(左絵)のCDで聴き比べ。アルバンベルクは、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの美しいハーモニーの上に第1ヴァイオリンが滑らかに旋律を奏でるところはコダーイ四重奏団と同様のイメージ。普段は目立ちすぎる第1ヴァイオリンのピヒラーが、いつになく音量を抑えて奏でる旋律が極めて美しく、さすがの好演奏。一方のフェステティチは、各楽器の旋律がより鮮明に聴こえ、対位法的な面白さがよりよく聴き取れる。どちらも良い演奏だが、この変奏曲に関しては、アルバンベルクの美しさが際立っている。

2011年5月17日火曜日

リーズ・ドゥ・ラ・サール、ピアノ・リサイタル

2011年5月17日
紀尾井ホール(1階4列10番、3000円)
生誕200年記念オール・リスト・プログラム。
  • バラード第2番 ロ短調
  • 葬送 「詩的で宗教的な調べ」より
  • 愛の夢 第3番 変イ長調
  • ダンテを読んで ソナタ風幻想曲
  • 献呈(シューマン作曲)
  • 春の夜(シューマン作曲)
  • ラクリモーザ(モーツァルト作曲)
  • セレナーデ(シューベルト作曲)
  • イゾルデの愛の死(ワーグナー作曲)
  • (ア)ショパン2曲、ラヴェル2曲
震災の影響で来日キャンセルが相次いだので久しぶりの生演奏。20代前半の綺麗なフランス人ピアニスト。若々しい太くしっかりした音色で情感豊かな演奏。繊細さや弱音での集中度には少し欠けるように思うが、中域から低域の太く肉厚な音色のハーモニーがとても心地よい。そんな演奏スタイルとお国柄もあってか、リスト作曲よりも後半のリスト編曲、それよりもアンコール前半のショパン、そしてアンコール後半のラヴェルと、後ろにいくほど完成度が高い。特にアンコール3曲目が、油絵のような濃い色彩感で、最高の演奏。

せっかくなので10代半ばで録音したCDを2枚ほど買ってみた。14歳でこんなに弾けるの!?な色彩感豊かな好演奏。ライヴと同じように細かい表情や繊細さは感じられないものの、充実した低音をベースとした豊かな響きと、柔らかいタッチのなめらかな高音のコントラストには充分に惹きつけられるものがある。

2011年5月3日火曜日

イザベル・ファウスト、ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ全集

軽めですっきりとしたモーツァルト風の第3番を聴き比べ。さらりと演奏すればよいと思うのだが、デュメイ&ピリスはひたすら美音、クレーメル&アルゲリッチは張り詰めたヴァイオリンと奔放なピアノのせめぎあい、ムローヴァはガット弦とフォルテピアノで気合が入り過ぎ、ムターはちょっとやり過ぎなムター節。そんななか、ファウストは、力むことなく自然な流れで爽やかに演奏する。繊細なアダージョ、活き活きとしたロンド。ヴァイオリンが大きすぎず、ピアノとのバランスも良い。誰もが持ち味を発揮していてどのCDも楽しめるが、無難な好演奏ということでファウストがオススメ。デュメイ&ピリスの美音コンビも、ちょっと違うだろと思いつつも、捨てがたい。

(2011.5.7)9番クロイツェル。定番のクレーメル&アルゲリッチの緊張感のある表現豊かな演奏がイチオシ。ムローヴァはフォルテピアノの音が小さすぎ、デュメイの太い音色やムター節は違和感大。ファウストも良いが、クレーメルに比べると、少し一本調子に聴こえる。

2011年5月2日月曜日

イルマ・イサカーゼのバッハ:パルティータ全集

バッハのパルティータ集を聴き比べ。ピアノの響きが美しく軽快なリズム感が心地よいシフの新録音、どんな曲でもしんみりと緻密に演奏を続けるペライア、淡々とした響きを抑えた音色で対位法を際立たせるグールド(全集)、チェンバロのシュタイアー。さらに、細かく抑揚をつけるピリスの1番、大きく抑揚をつけるアルゲリッチの2番。
対位法やフーガな曲は何といってもグールドが聴き応えいちばんだけど、モノラルでノイズが多く音質的にはいまひとつ。奇をてらったり独特の解釈が少なく落ち着いて聴いていられるペライアもよいが、いつものとおり地味なので、聴いている最中につい他のことを考えてしまい集中できない。BGMに最適。というわけでシフがイチオシ。
イサカーゼは、ためが独特で唐突なので少し違和感を覚えるし、ひとつひとつの音の響きが大きすぎて声部同士が被って聞きづらい。個人的にはいまひとつ。